PF(5th)

海と山と幽霊

「怖い話していい?」
「んー、まあ夏だからね。いいよ。ちゃんと出来るの?」
「出来るよ!」
「ならいいけど」
「これ、友達のお姉さんの話なんだけどね」
「うんうん」
「お姉さん、大学生でね、ワンルームのアパートで独り暮らしなんだって。東京で」
「へー、すごいね」
「でね、やっぱり東京だから家賃も高いらしくって、がんばって家でゴハン作ってるんだって」
「うん」
「それでね、ある日の夕食のとき。もちろん部屋は一人なんだよ。一人のはずなのに――どこからか足音が聞こえてきて。なんだろーなー。おかしーなーって。アパートの部屋は4階なのに、外から。その音がだんだん近づいてきて。『誰だ』『誰だ』って。男の低い声で。すごく怒ってる様子で。『誰だ』『誰だ』って。怖くて逃げようとするけど足は動かなくて。とうとう足音はすぐ近くまで――」
「…………」
「お姉さん、とうとう来たんだ、って覚悟したんだって。
 そしたらね、もうすごい大きな声で。すごい迫力で。『このあらいを作ったのは誰だあっ!!』」
「海原雄山!?」
「『お前だー!』」
「なんか違う!」
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