PF(5th)

乙女椿

先輩は水溜まりが好きだ。雨上がりに水溜まりを見つけては、当然のように靴を私に渡してくる。スカートを軽く持ち上げて、ゆっくりと。感触を確かめては、ほぅ、と可愛らしい声を漏らす。「これは素敵な水溜まりだよ」きみなら分かるだろう? と先輩は嬉しそうに目を細める。残念ながら水溜まりの良し悪しは分からない。「ええ、素敵ですね」雨上がりの空気。渡された靴の重さ。先輩と過ごす時間。ここにある全部。それが素敵なのは間違いない。
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