PF(5th)

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藤倉君と長峰さん

「女は、戦場に行った恋人の帰りを待っていた。いつか戦争が終わって、恋人と平穏な日々を過ごすのがたったひとつの夢だった。しかしある日、戦場から知らせが届く。恋人の小隊は全滅していた。希望を失った女は、その日のうちに自らの命を絶った。最低の悲劇だった。――さあ藤倉君、何が一番の悲劇になると思う?」
「女の人が自殺したこととか、いや、そもそも戦争があったこととか……」
「なるほど。でも一番に気付いて欲しかったのは、『何が一番の悲劇になる』という訊き方をしたことだね。不自然な問いかけにはそれなりの理由がある。これは以前話したとおりだね。さてこの場合、女が自ら死んでしまったことが一番の悲劇になってしまった。何故ならば、数日後、恋人は戦場から帰還したからだ。幽霊でも亡霊でもなく、戦場の生き残りとして」
「あ、情報にミスがあったとか……?」
「定義の錯誤だよ。ある意味においては情報のミスではあるけどね。戦場において『全滅』とは、全ての兵士が死んでしまったことを意味しない。ただ単に戦闘状態が継続できなくなったというだけだ。当然、生き残りは存在する。そもそも『全滅』という情報を伝えた人間が居た訳だからね。事例にもよるだろうけど、5割程度の被害が出れば『全滅』と判定される可能性は高い。ただ、『全滅』という言葉を聞いて、恋人が生きていると考える人は少ないだろうね」
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